fasciaって何?

最近、メディアでも良く取り上げられるようになったfascia(ファシア)。
しかし、正直、骨や筋に比べ、認知度が低く、身体の中でどんな役割があるのか何となくイメージしにくいですね。実は、fasciaはびっくりするほどとても大切な機能があります。
fasciaは姿勢とも関係しますので、健康に結びつく毎日を過ごすためにも知ってゆくことが大切です。ここでは信頼性の高い論文や少しAIの力も借りて調べてみましたのでお伝えします。

fasciaとは?

fasciaは、全身を包む膜。
例えば、腕の部分のfasciaを下記に示す。

「visible body の ヒューマン・アナトミー・アトラス2026:3Dによる完璧な人体」より筋膜の1例として前腕筋膜を紹介

fasciaとは膜です。実は、人の身体の中は膜だらけ。膜がたくさんあります。その中で筋肉を包む膜のことを筋膜(筋膜)と言います。筋肉だけかと思いきや、実はそうでもありません。

筋膜は、体じゅうを立体的に包み込む、まるで『伸びる全身タイツ』のような膜で、体中すべてつながっています。この膜は、形を支え、動きをなめらかにし、感覚を伝える大切なネットワークです。だから姿勢も関係してるのですね。


さて、では筋膜がなぜ重要なのか?まずはFasciaの基本から知ってゆきたいと思います。

ここでは、BordoniさんらのAnatomy,Fascia(※)をAI要約し学んでゆきます。

1. まだ完全な定義はない

研究者の間で「fasciaとはこれだ!」という統一の定義は確立されていない。
医学や徒手療法など、その立場によっても変わります。
たとえば、皮膚(表皮や真皮)、血液やリンパ、脂肪などに対し、それぞれの専門家により
見解が変わる。

【注】結合組織=体の“つなぎ材”のような役割をもつ組織。コラーゲンや弾性線維を多く含む。


2. 構造(どこにあるか)

一般医学での定義では、皮膚の下から骨膜(骨を覆う膜)まで多層に広がり、立体的に連続しているネットワークです。
つまり「皮膚の下の浅い層」から「筋肉の周りを覆う膜」そして「骨の膜」までが切れ目なくつながっているイメージです。


3. 定義の歴史的変遷(学会ごとに違う)

  • FCAT(連邦解剖用語委員会1989)
    「浅筋膜(皮下のゆるい層)」と「深筋膜(その下の密な層)」の2つを強調。
  • FIPAT(国際解剖用語連合プログラム2011)
    筋膜を「皮膚の下にある、筋肉や臓器を包んだり分けたりする膜の集まり」と定義。
    さらに、結合組織という用語が明確に定義されています。
  • 筋膜命名委員会(2014)
    筋膜系は、体中に浸透する、軟らかくコラーゲンを含む疎性および密性の線維性結合組織の3次元連続体で構成されている。もっと広くとらえて、脂肪・靭帯・腱・神経や血管の鞘・関節包・骨膜・臓器を包む膜まで全部を“筋膜系”に含める、としました。
    faciaは機能的な構造を持ち、すべての身体システムが統合的に機能できる環境を提供する。
  • FORCE(オステオパシー研究および臨床承認財団2013〜)
    さらに「機械的な刺激(押す・引っ張るなど)に反応するすべての組織が筋膜である」と拡張。筋膜連続体は、さまざまな組織、液体、固体間の完璧な相乗効果の進化の結果であり、体のすべての領域(表皮、真皮、脂肪、血液、リンパ、血管およびリンパ管、神経線維を覆う組織(神経内膜、神経周膜、神経上膜)、随意横紋筋線維およびそれを覆い浸透する組織(筋外膜、筋周膜、筋内膜)、靭帯、腱、腱膜、軟骨、骨、髄膜、不随意横紋筋および不随意平滑筋(中胚葉由来のすべての内臓))を支持、分割、浸透、栄養供給、および接続することができます。内臓靭帯、大網(小網と大網)、腹膜、そして舌。この連続体は、全身の形状と機能に影響を与える可能性のある機械的代謝情報を絶えず送受信しています。
    ただし、この定義は、オステオパシーの定義であり、医学一般ではここまで広げていない。
    しかしながら、多くの徒手療法は、この定義寄りになっている。

4. 現在の医学一般、主流の見解

  • 筋膜は「全身を覆う3Dネットワーク
  • 形を保ち、動きをスムーズにし、内臓や筋肉を支え、情報(力学・代謝・感覚)を伝える役割を持つ
  • 非常に広い範囲の概念。血液やリンパなども「広義の筋膜」として扱われる場合がある
  • 筋膜とは 「皮膚の下に形成され、筋肉や臓器を付着・包囲・分離する解剖可能な結合組織の集合体」
  • つまり、皮膚(表皮・真皮)は含まれない血液やリンパなどの流体も含まれない
  • 現在の解剖学教育や臨床研究では、浅筋膜・深筋膜・筋内膜/筋周膜/筋外膜・腱膜・靭帯・関節包・骨膜といった「線維性結合組織の膜構造」が筋膜に含まれるとするのが主流です。

含まれないもの

  • 表皮(乾いた角質層)、毛髪、爪は含まれません
    • 表皮=外胚葉由来の上皮組織で、解剖学的には「筋膜とは異なる組織」。
    • 毛髪・爪も角化した上皮性構造なので筋膜には入らない。
  • 真皮下から始まる結合組織層(皮下組織の疎性結合織を含む)からが「筋膜系」として扱われます。→ つまり 皮下(subcutis/皮下組織)以下の膜状構造を対象としている。真皮は「皮膚(skin)」の一部に分類されるため、厳密には fascia には含まれない

5. 徒手療法では

一部の広義定義(例:FORCE、筋膜命名委員会の拡張解釈)では、結合組織であれば fascia continuum の一部と捉える立場もある。

  • この立場では、真皮も「筋膜的連続体に含まれる」と主張されることがあります。

さらに、これはあくまでも私の個人的な想定とお断りしておきます。多くの徒手療法家は、日ごろの臨床で、真皮のみならず表皮までも身体の様々な機能面に関連していることが感覚的に経験されているので、皮膚全般や脂肪を支える結合組織(隔壁・浅筋膜)などもfasiaととらえる面もあると考えます。一般医学とは少し違うと思います。

オステオパシーはFORCEの立場からの定義なので、前述の定義の歴史的変遷でのものがfasciaとなる。


5. 運動学・機能学の視点からの重要ポイント

  • 形態保持:体の形を一定に保つフレーム
  • 力の分配:動作時に筋肉や関節への負担を分散
  • 滑走性:膜同士がスムーズに滑ることで、筋や腱が動きやすくなる
  • 感覚受容:伸び・圧・痛みを感じ取り、神経や自律神経に情報伝達

さらに、もっと分かりやすく!

筋膜ってなに?

  • 体じゅうにあるのびる全身タイツのような膜
  • 筋肉や臓器をつなぎ・包み・支える
  • 動きをスムーズにし、体の形を整え、力や感覚を伝える。

筋膜のはたらき

  1. からだを形づくる → 骨や筋肉を正しい位置に保つ。
  2. 力を分けあう → 一部に負担がかかりすぎないようにする。
  3. すべりを良くする → 筋肉がスムーズに動ける。
  4. 感じる膜 → 張りや痛みをキャッチし、体に知らせる。

よくあるトラブル

  • 同じ姿勢や使いすぎで膜がかたくなる(滑走不全)
  • → 動きに「引っかかり」や「重だるさ」が出ることも。
  • 適度な運動・温めるケア・ストレッチで改善しやすい。

fasciaの働きがわかることで、その重要性が理解できますね。

これから少しずつお伝えしてゆきたいと思います。

KCSセンターたかの施術院 院長 田村満也

ブログの発信者
こんにちは。京都で「姿勢療法」を行っております
田村です。このブログでは、お身体の健康と関係する機能解剖についてお話してゆきます。
※西オーストラリア公立マードック大学

 カイロプラクティック学科卒(BHSc)
※診療放射線技師(保健衛生学士)

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